化学メーカー勤務の技術職として多くの人が配属される生産技術職。
職種の1つとして知ってはいるけど、具体的にどのような業務があって、一日のスケジュールがどのように進んでいくのかあまりイメージが湧かない…という人も多いのではないでしょうか。
化学プラントの生産技術職は、運転データの管理、現場の確認、設備更新、トラブル対応、会議など、プラントを安定して動かすための幅広い業務を担当します。
この記事では、大手化学メーカーのプラントで働く若手技術職の実例として、
・生産技術職の具体的な仕事内容
・7:45~17:00までのリアルな1日の流れ
・現場仕事とデスクワークの割合
・残業や会議の実態
を紹介します。
「化学メーカーの生産技術って実際何をするの?」という方の参考になれば幸いです。
一般的な生産技術の業務とは
まずは世間で言われている生産技術職が、どのような業務を行う職種なのかという一般論を置いておきます。
化学メーカーでは、似た仕事が「生産技術」「製造技術」「プロセスエンジニア」などの名称で呼ばれます。
名称と担当範囲は会社ごとに異なりますが、安定操業、品質改善、効率化、新製品の量産化、設備改造や新設、運転条件の最適化などが多くの企業で共通しています。
他にもプラントデータ解析による品質安定化・生産効率向上や、プロセス開発、既存工程の改善、設備導入、自動化、省エネ、保全といった役割を担っているのが生産技術職です。
改めて書き出してみると、生産技術の業務は本当に多岐にわたっていることが分かりますね。
筆者のポジションと業務担当
私の一日のスケジュールを紹介する前に、現在私が勤めている会社と担当している業務について触れておきます。
- 規模:従業員数100人以下
- 運転方式:連続プラント
- 職種:生産技術職(のような何か)
- 社歴:2025年新卒入社の2年目
- 担当業務:ユーティリティー管理、更新設備の検討、運転データの分析など
生産技術職(のような何か)と書いたのは、弊プラントの規模が小さいせいか、理系院卒の枠がこの部署しかないためです。
厳密には生産技術からやや外れた生産管理だったり、設備の検査業務なんかもこの部署がメインで行っています。
要するに、製造以外の大体の業務に一枚噛んでる何でも屋という事です。
良し悪しは別として、普段の業務が一般的に言われている職種の何に一番近いか、という事を考えるとやはり生産技術なのかなあという結論に至りました。
どの部署がどんな業務を担当するかは本当に千差万別だと思うので、あくまで一例として記事を読み進めてもらえたらと思います。
一日のスケジュール
さて本題という事で、わたくし鮫のある日のスケジュールを表にまとめました。身バレ防止のため内容に一部脚色はありますが、かなりリアルなスケジュールになっています。
| 時刻 | 業務 | 注釈 |
| 7:45〜8:15 | 出社と確認 | 夜間の異常有無、メールの確認 |
| 8:15〜9:00 | 運転管理 | プラント内の水を管理する |
| 9:00〜10:30 | 現場確認とヒアリング | 計器室と現場を確認し、製造からの要望を聞く |
| 10:30〜12:00 | 会議 | 更新設備の要件を押さえる |
| 12:00〜13:00 | 昼休み | 食堂で昼食 |
| 13:00〜14:30 | 会議 | 操業状況、検討事項の確認。 |
| 14:30〜15:30 | 議事録作成 | 操業特記事項の確認。 |
| 15:30〜17:00 | 更新設備の仕様検討 | バルブやポンプ、計装品など |
| 17:00以降 | 退勤または残業 | 残業規制を気にしながら |
7時45分~8時15分 出社と確認

弊プラントは定時が8時~17時となっていまして、工場あるあるだと思うのですが朝が早めです。
そのため朝は7時過ぎには自宅を出発し、だいたい45分頃にはデスクに到着するようにしています。通勤ルートが空いていると少しラッキー。(車通勤)
ここから一日がスタートするわけですが、最初にやることは夜間トラブルの有無とメールの確認です。
私はトラブル時の対応に直接関わってはいませんが、プラントの操業状況が変わると間接的に担当業務に影響が出てくるためチェックは欠かせません。(生産に大きく関わるトラブルが発生した場合は休日/深夜に関わらず担当者が呼び出される。)未読のメッセージが無いと少し安心。
作成した更新設備の仕様書を部署内で共有すると、だいたい朝にはレビューを頂けるのでそれの確認や、小規模な工事日程やお知らせメールなどは朝早いうちに目を通しておきます。
8時15分~9時00分 運転管理
一通りメールチェックが終わったら、いよいよ担当業務の1つである運転管理に取り掛かります。

プラント内の運転管理といっても様々な管理項目がありますが、私が現在担当しているのは水です。
弊プラントの水の管理はプラントで発生する熱を取り除く冷却水と、スチームを発生させるためのボイラー水に大きく分かれていまして、それぞれ監視項目や管理方法が異なります。
運転データを逐次確認し、理想的な状態から外れていたら製造部に作業を依頼するという流れです。
9時00分~10時30分 現場確認とヒアリング

その次は現場(プラント内)に行きます。プラント内の監視室にしかない資料を確認したり、製造部から要望を聞いたりなど、事務所ではなかなかできないことも多くあります。
というか言い忘れてましたが、私は基本的にプラントの外にある事務所で仕事をしています。
事務所をプラントの中に作ると防爆とかなんやらで非常に強固な建築物にしないといけないらしいですよ。
なので基本的にモノを作るプラントと事務作業用の建屋は分かれていると考えていいでしょう。
このタイミングで午後に行う更新設備の検討を進めるための準備もしておきます。
更新設備についてオペレーターから改善要望が無いか聞いておくのは結構重要です。
更新した後に「なんでアレやらなかったの?」みたいな感じで詰められるのを回避できます。
10時30分~12時00分 会議①

生産技術職では毎日なんかしらの会議や打ち合わせがあると思っていいと思います。
他社との生産調整、来年のメンテナンスに向けた打ち合わせ、金額が大きい更新設備はメールではなく対面での打ち合わせで慎重に仕様を決めていくことなんかもあります。
ひよっこなので会議中に発言することはあまりありませんが、よくネットで言われているような「何も決まらない、やる意味がない打ち合わせ」みたいなものはあまり無いように感じます。
会議の内容をしっかりとメモする、記憶しておかないと後々困ることになります。
12時00分~13時00分 昼休み

8時から働くこと4時間、ここで束の間の休息タイム。
食堂で同期と昼食を食べたのち、デスクに突っ伏して昼寝をすることが多いです。
昼休みは画面を見ずに脳を休める事を意識しています。
13時00分~14時30分 会議②
午後一にも会議があったりします。睡魔との闘いになることがほとんど。
定期的な会議の例として、操業の状況を報告する会議(週1)や設備保全のための会議(月1)などがあります。
特に第二週は定期的な会議が多く時間を持っていかれがちです。
14時30分~15時30分 議事録作成

会議が終わると何が始まるか。そう、議事録の作成ですね。
下っ端に与えられる業務の1つなのですが、これが思ったよりも時間を取られます。
作成だけでなく印刷と回覧、ファイル綴じまでやるとちょくちょく業務に水を差されるので、全体で見るとかなり作業効率を下げてそうです。
ただ、議事録作成をサポートしてくれるAIなるものが最近導入されたので、先端技術も駆使しつつ手早く進めたいところ。
15時30分~17時00分 更新設備の検討

議事録作成を終え、ようやくメイン業務の2つ目である更新設備の検討に取り掛かります。
午前中に集めたデータを基に来年、もしくは再来年に更新する設備(バルブやポンプなど)の仕様を検討していきます。
機械系ではないので設計自体は勿論専門のエンジニアリング部門に任せますが、モノの仕様としてこの条件を満たしてねという項目を検討するイメージです。
17時00分~ 退勤or残業

定時で帰れるかどうかは締め切り間際の業務があるかで決まってきます。
時期にもよりますが定時退勤できるのは月に5日あるかどうか、といったところでしょうか…
ただ、切羽詰まってる時でも0時を回ったことは無かったはず、というか社内ルールで日をまたぐのは禁止されていたような気がします。
遅くとも20時半には退勤して明日の業務に備えます。
生産技術職に必要な能力
ここまで若手生産技術職の一日を見てきましたが、「実際に働いて感じる、生産技術職に必要な能力」
として、
- 製造・保全・設計部門と話すコミュニケーション力
- データを見る力
- 技術的な内容を資料にまとめる力
- 複数案件を並行するタスク管理
などが挙げられるかなと思います。
学生の皆さんのイメージとは離れるかもしれませんが、化工の知識や計算の速さよりも上記のようなソフトスキルの方が重宝しそうです。
まとめ
今回は化学プラント勤務の生産技術職の一日を公開ということで記事を作成しましたが、いかがでしたでしょうか。
コイツ技術屋なのに頭使う作業全然してなくね?
という突っ込みが入りそうですが、これがリアルなんです…
もちろん日によって会議の数にばらつきはありますし、小工事の立ち合いなんかがあったりして時間を取られることも多々あるので、平均すると頭を使う化工計算的な作業はこんなもんです。
とはいえ、私も現在勤めている一社しか経験が無いので、この一日のスケジュールが世の生産技術職と比べてどうかという点は正直よく分かりません。
なのであくまで一例として、こんな感じで仕事してる鮫がいるんだなあというイメージを持っていただければと思います。
以上、お疲れさまでした。
それではご安全に!
